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パッキングデー [地球一周の船旅]

 世界の終わりが来ても詰め込まれまいと思われていた私の荷物が、なんとか二つのトランクに収まっていた。
 部屋は適当に片付き、クローゼットも最終日に着るものがかけられているのみだ。
 たんすの引き出しも空っぽになり、星座関係の本も全てトランクに詰め込まれた。
 幾冊かの本と、暇つぶし用のゲーム機はトランクに詰めなかった。
 なにせ、トランクを引き取りに来るスタッフさんが来るまでが長く、大体の時間は決まっていても、その間は部屋に居なければならない。
 加えて、バーなどは現金支払いとなってしまい、日本円があまり無い私は使用できない。
 自動販売機も先日終了していた。そのことを通りかかったご近所部屋の住人に話すと、「じゃあ、買い込んでおかないと」と走っていってしまった。
「あと少しで横浜に着くのに…」
 私の言葉は誰もいない廊下にむなしく響いた。

 ということで、パッキングデーのこの日は、少し外に出た以外は、本当に部屋に缶詰だった。
 日本に近くなっただけあって、急激に熱くなって来た。
IMG_4414.jpg
 海の色もどことなく見慣れたもののように感じる。
 場所は岩手の沖300キロメートルあたりになるようだ。 

 最後の69テレビ放送があったが、二周も見てしまうと内容を覚えてしまい、しまいにはベッドにひっくり返ってゲームなどしていた。

 さて、最後のこの頃にはゴミも多くなる。
 私は余計なごみは出すまいと思っていたが、太平洋に入ると同時にフランスにて3ユーロで買ったサンダルが修復不能なまでに壊れた。
 さらに、ベトナムで購入したサンダルは、実はベトナム出航翌日の夜にはいたら、その場で紙がぺろりと剥がれてしまい、しかし慌てず騒がずガムテープで補修したところ、なんと太平洋半ばまで持った。
 しかし、最後は両足の紙が全面剥がれて取れてしまった。
 この二足は日本の地を見ることなく廃棄と相成ったが、船内では大いに助かった。
 他には空になったシャンプーの容器や、その他のゴミなどを出したが、不思議なことに荷物は減るどころかむしろ増えた。
 カミソリを持っていっていたが、ズボラなのでシャワールームに置きっぱなしにしていたら、すっかり錆びてしまっていた。やはり、いくぶんか海水が含まれているようである。

 やがて時間になり、待っているとスタッフさんが疲れた様子で来て、二個のトランクをガラガラと運んでいってくれた。これらのトランクは横浜港で荷揚げされ、先日渡されたカラーラベルごとに税関の荷物置き場に分けて置かれることになる。

 トランクがなくなると、部屋はますます広く感じた。
 明日、横浜に到着する。
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