フェアウェルフォーマルディナー

　新聞局は最後の新聞と局長新聞の編集で、フェアウェルパーティもキャンセルだった。
　終いにはみんな疲れ果て、そのままの格好でフェアウェルディナーに向かった。この日のディナーは時間制限がかかっていて、その間に入場しないといけなかった。
　フォーマルディナーに完全アウエーの平服、しかもジーンズにＴシャツで疲れきっている局員メンバーに、何人かからは「おーい、今日はフォーマルディナーだぞー」という声がとんだ。
　局員の一人は慌てず騒がずこう言い切った。
「うるさい。これが新聞局のフォーマルだ！」

　さて、どうして時間制限がされていたのかというと…。

　突然、船の従業員さんたちが入場してきた。

　まるでカーテンコールのような演出。

　このために、入場制限が設けられていたのである。納得した。

　フェアウェルディナーは赤ワインが一杯無料で、オマール海老のサラダに始まり、緑黄野菜のクリームスープ、サーロインステーキ温野菜添えとパン、ミックスベリーパイがデザートについている。
　そもそもピースボートの料理にはあまり期待してなかったのだが、実のところ思っていたよりも豪華だった。普段の料理も、だ。
　若き欠食児童たちのために、エクストラメニューもついている。この日のものはジャンバラヤで、ウェイターさんに「エクストラ！」と頼めば、テーブルごとにいくつか聞いてくれて、その数だけ持って来る。
　しかし、毎食「エクストラ！」などとやっているとさすがに太る。

　そういえば、フェアウェルパーティもあったが、上の状態を見ればわかるように、もちろん行っていない。
　ただ、新聞に適当に区切りをつけて、クルーズファイナルイベントには参加するつもりでいた。