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水門とコンクリートの街~フランス ル・アーブル1日目・前編~ [寄港地]

 ル・アーブルはフランス北西部にある都市。
 『どくとるマンボウ航海記』にも出ているが、北杜夫氏はすぐにパリの友人T(恐らく辻邦生氏)に会いに行ってしまい、この街の描写は少ない。
 この港町の名を知らない人は多く、ヒドイのになると「有名な美術館がある町なんですよね?」とのたまう輩もいる。どうも、パリのルーブル美術館とカンチガイしているらしい。

 私は『どくとるマンボウ航海記』のおかげでこの港を知っていたが、あの作品に出会わなければ私も詳しくはこの町を知らなかっただろう。
 この町で見たい場所は北杜夫氏がパリに向かったル・アーブル駅と、作中の描写であった「水門」である。
 潮位の差が激しいル・アーブルは、パナマ運河式に閘門を開け、船は奥に進んでいくという。

 朝、船が到着すると勇んでデッキに出てみたが、水門をくぐってきたらしき形跡はない。
 ただ、海が近くに見えるのみである。
 今は昔、もう、水門なんて使っていないのかもしれない…。

 横を見ると、またもや本物の豪華客船が停泊している。
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 船体には「Holland America Line」、上部(煙突?展望席?)には「Eurodam」の文字がある。

 さて、この日は完全に一人で町を歩き回ることに決めていたので、適当に仕度して船を出る。
 市内を回るバスが出ていたが、このバスは駅に行かないという。
 まぁいいやと乗り込み、最初のバス停で降りて歩く。
 もらった地図で場所を確かめると、ケーブルカーの表示があるので、また懲りずに行ってみることにする。

 ル・アーブルはセーヌ川の河口にある町。第二次世界大戦で壊滅的な被害を受けたこの町は、戦後オーギュスト・ペレという建築家によって再建された。
 ペレはコンクリートを使った古き町並みの再現を試み、市街をパリの通りに似せたりと様々な試みをした。
 ル・アーブルの町並みは、一見するとコンクリートとは思えないほどの建築物が多い。

 市街を歩いていると、いかにもフランスらしい彫刻があった。
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 その向こうには、山のような形の珍妙な建物?が。
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 「火山」とでもいうような名前が付いているようだ。なにかセンターのようなものらしいが、何のセンターだったか覚えがない。

 しばらく歩くと、商店街のようなところに出た。
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 動いていないが、メリーゴーランドが置かれている。

 さらにしばらく歩くと、小さなケーブルカーの駅が見えてきた。山の上にある住宅街への足として使われているらしい。料金もかなり安かった。
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 おもちゃのようなケーブルカーで登ると、そこにはカレッジがあったようで、学生たちがぞろぞろと外に出てくる。
 住宅街は小ぎれいで、いかにも外国の町という感じがする。
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 しばらく歩くとロープウェーのような看板があったが、無くなったのか読み違えたのか、さっきのケーブルカーのことだったのか、いくら歩いてもそれらしきものはない。
 古い城砦のようなものがあったが、入れる気配はない。
 バス停があったので、そこにある地図を見て現在地を確認した。すでに、手持ちの地図の範囲から出ていたのである。
 市街へ下り、駅に行きたかったのだがだいぶ回り道をする必要がありそうだ。
 それでもいいかと歩き出すと、樹木が天蓋となった階段を発見。
 降りれることは降りれるのだから、まぁ行こうかと階段を下りる。
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 階段はずいぶんゆがんでいたが、まさに外国の街という雰囲気は抜群だった。眺めも木がなくなれば、良い。
 降りてから街路の名前を頼りに、駅へ向かう。駅はすぐに見つかった。
 中に入ると近代的なつくりで、昔からのものかどうかなどはわからない。
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 ここでは、日本に帰る新聞局の子と会った。ルームメイトの子達と一緒に、パリへ行って帰るのだという。

 ちょうど昼時だったので、駅の構内のカフェで昼食をとることにする。駅のカフェでは、わずかながら英語が通じた。パリなどではだいぶ英語も通じるようだが、そうでない場所ではやはりフランス語が強いお国柄である。
 余談だが、ここのホットサンドも焦げ気味だった。ヨーロッパでは、トーストは焦げるまで焼くものなのだろうか?

 駅前で船の知り合いに会い、ウォーターフロントのショッピングモールがあったと教えてもらい、そこへ向かう。
 ル・アーブルあたりだと、単独行動している人がかなり多かった。日本人はだいたい、ピースボートの乗客だったのだろう。

 さて、駅からしばらく歩くと、なるほど川辺?に建つ大きな建物が見えてきた。
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 ペレの作品とは思えない、最近建てられたものなのだろう。
 川に浮き橋が架かり、その上を歩いてショッピングモールへ向かう。
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 大きなショッピングモールだったが、入ってすぐにあった雑貨の店に入る。
 パソコン周辺機器から化粧品、衣服、子ども用品にペット用品とありとあらゆるものが揃っているような、かなり大きな店である。
 足りなくなった日用品を購入することが目的だったが、ついでにサンダルや猫用の土産としてキャットフードも買う。
 サンダルはベトナムのダナンでよさげなビーチサンダルを購入したのだが、ダナンを出航して一晩で靴底がペロンとはがれてしまった。
 とっさに、新聞局にあったガムテープを拝借して修理?したものの、いつ壊れてもおかしくない状態。暑くなるだろう南米を前に、もう一足買っておきたかった。
 ちょうど、値札に「ECO(エコ)」と大きく書かれた商品があったので、そのサンダルを購入してレジに向かう。
 レジはセルフ式。自分で商品をスキャンして、最後にお金を・・・
 画面に表示が4つほど出ましたが、全てフランス語なのでワカリマセン@@;
 察した店員さんがすっ飛んできて、何で支払うのかと問うのでユーロを見せると、ボタンの一個を押してくれた。
 よくよく見れば、下にユーロ札の絵が描かれていた。落ち着けばわかったのである。

 隣の食料品店に行き、土産用にシードル(リンゴの発泡酒)を買い込み、今度はセルフレジにも動じることなく買い物を済ませ、トイレに立ち寄ってはっと気がつく。
 駅の外観を撮影していなかった。
 駅へとんぼ返りし、外観を撮影。
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 『どくとるマンボウ航海記』で「ガール、ガール」と言って駅の場所を教えてもらうシーンがあったが、その通り「GARE DU HAVRE」と書かれている。
 しかし、「駅のネオンがついた時計塔」はもうなかった。
 
 せっかく駅まで戻ったのだからと、郵便局に立ち寄ろうとしたがまだ昼休み。
 ヨーロッパはシエスタなる長い昼休みがあり、日本人には理解できぬほど長い間休んでいる。
 仕方ないので、駅前の店でビールを飲む。
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 どうも変だなと思い、銘柄を見るとトルコのビールだった。
 慌てて別の店に入ると、オレンジビールだのイチゴビールだのと、ビールカクテルの店らしい。
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 オレンジビールを注文。これもフランスのビールには違いない…。

 再びショッピングモールの近くまで行き、横を通り抜けてしばらく歩くと、可動式の橋を見つけた。
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 船が来たときだけ動くタイプだ。昼間は動いていないようだが、夜に出歩いていた人の話しでは、夜中に結構動いていたようである。
 川べりにベンチがあったので、そこでさっき買い込んだパイなど食べて一休み。
 また歩くと、今度は日本風の庭園が見えてきた。
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 ル・アーブルは大阪と姉妹都市を提携していて、大阪市がこの日本庭園を贈呈し、ル・アーブルはワイン博物館を贈呈したようである。
 中を見たかったが、開いてはいないようだった。

 港へ戻る道をぶらついていると、橋が持ち上がりますよといった看板があった。
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 周りを見てみると…。
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 あ、水門!
 照洋丸が通った水路かどうかはわからないが、ル・アーブルは確かに水門がある町だったのだ。

 後半へ続く。
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